| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(口頭発表) D03-07  (Oral presentation)

乾燥地における植物内部根圏キーストーン微生物の宿主特異性 【B】
Host preference of plant endophytic keystone taxa in a dryland 【B】

*谷口武士(鳥取大学), 磯部一夫(カリフォルニア大学, 東京大学), 今田省吾(環境科学技術研究所), Mohammed M Eltayeb(University of Khartoum, Tottori university), 赤路康朗(国立環境研究所), Michael F Allen(University of California), Emma Aronson(University of California)
*Takeshi TANIGUCHI(Tottori university), Kazuo Isobe(University of California, University of Tokyo), Shogo Imada(Inst. for Environ. Sciences), Mohammed M Eltayeb(University of Khartoum, Tottori university), Yasuaki Akaji(NIES), Michael F Allen(University of California), Emma Aronson(University of California)

乾燥地は水や養分が制限された非常に過酷な環境である。ここで生育する植物は根における微生物との共生関係によってその適応性を高めている。このような微生物として、内生細菌、内生菌、そしてアーバスキュラー菌根菌といった異なるタイプの根内に生息する内部根圏微生物が知られているが、乾燥地におけるそれぞれの微生物タイプの宿主特異性や重要微生物の生態的特性についてはよくわかっていない。そこで本研究では、内部根圏微生物を対象としたメタゲノム解析を行い、NMDS解析とネットワーク指標によって異なる微生物タイプの宿主特異性を評価した。また、それぞれの植物に重要なキーストーン微生物を中心性指標から求め、その分布とこれを規定している要因について調べた。
 この結果として、全ての内部根圏微生物タイプについて、宿主植物による群集構造への影響が認められた。また、内生菌では、内生細菌やアーバスキュラー菌根菌と比べて高い宿主嗜好性が認められた。しかしながら、キーストーン微生物はほとんどの宿主で共通して存在し、かつ出現頻度も高く、調査地に普遍的に存在していることが示された。このことは、キーストーン微生物が安定的に生態系に存在し、植物の種多様性や機能性を維持する上で重要な役割を果たしている可能性を示している。


日本生態学会