| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨 ESJ66 Abstract |
一般講演(口頭発表) F02-05 (Oral presentation)
1970年代以降、東南アジア熱帯地域に広がる天然林の約35%が、無秩序な商業伐採や焼畑、オイルパームやゴムなどのプランテーション開発などによって急速に失われた。このような土地利用変化にともなう炭素収支の影響把握と将来予測をするためには、土地利用変化にともなう土壌呼吸(Rs)の変化を現地で長期的にモニタリングすることが極めて重要である。本研究では、マレーシア熱帯地域の代表的な森林タイプである、天然林(NF)、二次林(SF)、アブラヤシ農園(OP)、ゴム農園(RP)を調査サイトとして設定した。各サイトに5m間隔で合計30個(2列×15列)の土壌カラー(直径32 cm)を取り付け、毎月約2回、8年間にわたってRsを計測した。計測は、国立環境研究所で開発された携帯型の自動開閉チャンバシステムを用いて行った。その結果、Rsはすべての地点で同時性の季節的変化を示し、土壌温度と水分の両方によって制御されていることが示唆された。見かけの温度感受性(Q10)は、NFの4.86からSFの2.09、OPの2.14、GPの3.79へと、自然林からの土地利用転換に伴って減少した。さらに、年間平均土壌呼吸速度は、NFと比較して、SFでは約38%、OPでは約33%、そしてGPでは約40%減少した。我々の結果は、原生林の伐採やプランテーション転換が長期的な土壌劣化をもたらしていることを示唆している。