| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(口頭発表) I03-04  (Oral presentation)

マダガスカルの流水性両棲類幼生の採餌ニッチの多様性 【B】
Diversity of foraging niche in lotic tadpoles in Madagascar 【B】

*Yosihiro NATUHARA(Nagoya University), Noelikanto Ramamonjisoa(Kyoto University)

マダガスカルのラノマファナ国立公園の渓流で、2014年10月と2015年3月におたまじゃくしを採取し、マイクロハビタット、口器の形状、安定同位体比によって、採餌ニッチを推定した。採集した27種のおたまじゃくしは、7種類の口器ギルドが認められた。一般型口器を持つBoophis属の種が優占し、次いで漏斗型口器のMantidactylusが多かった。Gephyromantis Guibemantisは各1種のみであった。優占種は、B. quasiboehmei, B. madagascariensisおよびB. reticulatusであった。林縁では、B. andohahela等オープンな生息場所に適応したが多く、B. picturatus等森林に特化した種が少なかった。森林特化種は、成体が大木を生息場所としていた。種組成はマイクロハビタットの影響を受けていた。種組成の違いは、二次林では攪乱が影響したと考えられた。種組成と関連のあった環境変数は、流速、微少生息場所水深、丸石パーセント、樹冠開空率であった。これらの環境変数が大きいほど、B. marojezensis, B. andohahela, B. sp37, B. tasymenaおよびB. elenaeが生息し、森林特化種であるB. picturatus, S. aglaveiおよびS. peraccaeは生息しない傾向がみられた。窒素安定同位体比の値から、基本的に植物性の餌を食べていた。異なる種のおたまじゃくしの安定同位体比は、d13C値は-32から-20までの範囲でばらついていたのに対して、d15Nの値は1種を除いて3から6までの範囲に収まっていた。砂食であるB. picturatusだけが8程度であった。同一口器ギルドであっても、安定同位体比の値は異なる場合があった。


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