| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨 ESJ66 Abstract |
一般講演(口頭発表) K02-01 (Oral presentation)
個体群行列から、個体群増加率や弾性度など、その個体群の特徴を知るための様々な個体群統計量を求めることができる。私たちは、新たな個体群統計量となる「個体の流れ行列」と「繁殖価の流れ行列」を発見した。これらの二つの行列の要素の和は個体群増加率に等しくなるという特徴を持っている。そのために齢やステージ間の推移が、どの程度個体群増加率に寄与しているかを知ることができる。本研究は、個体群行列に関するデータベース(COMPADRE)から個体群行列モデルを構築することによって、「個体の流れ行列」と「繁殖価の流れ行列」を生活史で分類した機能群ごとに比較を行なった結果を紹介する。植物は光合成によって固定されたエネルギーを繁殖・成長・生存のために配分しているが、それらの配分は進化の過程で変化しており、かつ個体群行列に反映していると考えられる。「個体の流れ行列」と「繁殖価の流れ行列」を用いた解析により、新たな進化の過程についての理解につながる可能性がある。