| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(口頭発表) M02-01  (Oral presentation)

海洋のレジームシフトに対する海鳥食ヘビ個体群の長期的反応
Long-term demographic response of the snake living with seabird colony under oceanographic regime shift

*長谷川雅美(東邦大学理学部)
*Masami HASEGAWA(Toho University)

伊豆諸島に生息するシマヘビの食性と体の大きさは、島間で著しい地理的変異をしめす。4種類のヘビと共存する伊豆大島では、シマヘビの食性はトカゲ類に限られ、体の大きさは伊豆諸島中最小で全長は1m弱しかない。新島や神津島ではアオダイショウとのみ共存し、オカダトカゲのほかに小哺乳類(アカネズミ、ジネズミ)、アオダイショウの幼体、鳥類の卵や雛などさまざまな餌を捕食し、体の大きさはアオダイショウなみ(約1.5m)である。そして全長2mに達し、体重が1kgを越す祗苗島のシマヘビは、伊豆諸島のシマヘビの中で最大であるばかりでなく、シマヘビの中で最大の個体群である。主食は海鳥で、オーストンウミツバメの卵と雛、カンムリウミスズメの卵、ウミネコの卵、オオミズナギドリの卵が記録されている。1984年から継続している祗苗島でのシマヘビ個体群の長期調査の結果と、1995年から開始した周辺海域での海鳥センサスの結果を分析した結果、太平洋10年スケール振動(PDO)に連動した海洋生態系のレジームシフトとリンクした海鳥コロニーの消長と、只苗島のシマヘビの生活史特性の長期的変動が関連している兆候を見出した。発表では、伊豆諸島海域における海洋環境の特徴と長期変動が島嶼の陸上生態系に及ぼす影響についての作業仮説を議論する。


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