| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(口頭発表) M02-03  (Oral presentation)

河川の底生無脊椎動物群集における体長範囲に着目した個体数及び生物量
Individual number and biomass of benthic invertebrate communities in streams with special reference to body size range

*加藤元海(高知大学)
*Motomi GENKAI-KATO(Kochi University)

河川の底生無脊椎動物群集の定量採集では、特に小型個体の試料処理にかかる時間と労力は軽視しがたく、これまでのところ、小型個体を取り扱わずに個体数や生物量をできる限り正確に推定することは困難である。本研究では、河川上流域に生息する底生無脊椎動物群集において、取り扱う対象を大型個体のみから小型個体を含めたものへと広げた場合、その個体数と生物量の増加の法則を明らかにすることを目的とした。調査は2015年の秋から2016年の夏にかけて高知県を流れる仁淀川と鏡川で行なった。単位面積当たりの底生無脊椎動物群集について、個体数ではカゲロウ目のコカゲロウ科とヒラタカゲロウ科が多く、生物量では季節と河川によって優占する分類群が異なった。底生無脊椎動物群集(サワガニを除く)のうち体長5 mm以上の個体が占める割合は、個体数では最大でも3割程度であるが、生物量では常に7割以上を占めていた。底生無脊椎動物群集を体長5 mm以上の個体から小さな個体へと体長区分1 mmごとに累積した場合の増加率については、個体数では直線的に増加し、生物量では飽和型の増加を示した。本研究結果を基に、体長j mm以上の個体から体長i mm以上の個体の生物量(もしくは個体数)を推定する簡便な式を導出した(1 ≦ i < j ≦ 5)。この式により、例えば、体長5 mm以上の個体の生物量(個体数)から体長1 mm以上の底生無脊椎動物群集のおおよその生物量(個体数)を推定することができる。


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