| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


シンポジウム ME02-6  (Presentation in Symposium)

温度環境に依存する爬虫類の性決定
Mechanisms of temperature-dependent sex determination in reptiles

*宮川信一(東京理科大学)
*Shinichi Miyagawa(Tokyo Univ. of Sci.)

我々ヒトを含む哺乳類をはじめ、多くの動物の性は染色体の構成(遺伝子型)によって決まっている(遺伝型性決定)。一方で、胚発生時、あるいは幼生の段階で、環境要因によって性が決定する動物がいる(環境依存型性決定)。そのなかでも爬虫類で見られる、温度によって性が決まる温度依存型性決定(Temperature-dependent Sex Determination; TSD)は、1966年に西アフリカに棲息するトカゲで初めて報告されて以来、これまで調べられてきた全てのワニ、多くのカメ、一部のトカゲで見つかっており、動物種によって異なる温度域でオスあるいはメスが産まれてくることがわかっている。しかし従来の温度依存型性決定研究の多くは、野外で採取した卵を持ち帰って、異なる温度で孵卵させて雌雄比を観察するという、記載的な報告にとどまっていることが多く、性決定の分子メカニズムまで踏み込めていなかった。我々はワニとカメをモデルとして、異なる温度を受容するメカニズムとして、多くの動物で温度センサーとして作用するTRPチャネルに注目して研究を行っている。本シンポジウムでは、温度感受性TRPチャネルによる温度環境受容機構と、その下流で生殖腺分化にかかわる遺伝子発現カスケードについて紹介する。


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