| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-061  (Poster presentation)

都市マトリクスにおけるチョウ・鳥類の分布:景観・局所スケール要因の影響
Distribution of butterflies and birds in the urban matrix: the effects of landscape and local habitat attributes

*山中椎奈, 土屋一彬, 吉田薫, 曽我昌史(東京大学)
*Shiina YAMANAKA, Kazuaki Tsuchiya, Kaoru Yoshida, Masashi Soga(The university of Tokyo)

 近年、環境保全や生態系サービス、都市住民の福利などの観点から、都市における生物多様性の保全が求められている。これまで都市の生物多様性保全に関する議論では、主に緑地(パッチ)を対象とした研究がなされてきた。一方で、都市景観の大部分を占めるマトリクスが持つ生物多様性保全機能は未だよく分かっていない。そこで本研究では、都市マトリクスの主要な構成要素である街路樹に注目し、街路樹景観における生物多様性(チョウ・鳥類)の分布パターンを決める景観・局所要因を明らかにすることを目的とした。

 調査は、東京都内にある37カ所の街路樹景観(片側一車線程度の規模の道路)で行った。各景観で300 mの調査ルートを設置し、ルートセンサス法を用いてチョウ類(5・8・10月)と鳥類(5・8・12月)の種数・個体数を記録した。また現地調査の際、調査ルート上にある街路樹の種類と本数を記録し、局所要因とした。景観要因としては、調査ルート周辺の森林・農地の面積割合を使用した。解析には一般化線形混合モデルを用い、各調査景観におけるチョウ類と鳥類の種数・個体数および各種の個体数を目的変数、局所・景観要因およびその交互作用項を説明変数とした。

 調査の結果、18種437個体のチョウ類と20種1101個体の鳥類が確認された。解析の結果、チョウ類では、種数・個体数と局所・景観要因の間には強い関係性は見られなかった。鳥類では、繁殖期には、森林の割合が大きな場所ほど個体数が多かった。しかし、その他の時期では、森林の割合が大きな場所で種数・個体数が多く、さらに街路樹の本数の多い景観で個体数が多かった。局所・景観要因に対する鳥・チョウ類種の反応は、種・分類群ごとに大きく異なった。以上の結果を踏まえ、本発表では、鳥・チョウ類の保全に適した街路樹景観の在り方について議論する。


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