| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-197  (Poster presentation)

ショウジョウバエの共食い能力の進化可能性:人為選抜実験による検証
Evolurabilty of cannibalistic ability of Drosophila melanogaster

*牧元錬太郎, 高橋一男(岡山大学)
*Rentaro MAKIMOTO, Kazuo Takahashi(Okayama University)

近年、腐食性昆虫であるキイロショウジョウバエが貧栄養条件下で共食いを行う事が発見され、傷ついた老齢幼虫が、若齢幼虫に食われる傾向がある事が分かっている。特に落下果実などの短命で小さな資源を利用する昆虫にとっては、高密度条件や貧栄養条件下では、共食い行動は適応的と考えられている。先行研究から、キイロショウジョウバエの若齢幼虫は、近傍に存在する傷ついた老齢幼虫を探索する能力(共食い探餌能力)と、老齢幼虫のみを餌として発育する能力(共食い採餌能力)を持つことが示唆されているが、これらの能力が遺伝し、さらなる進化可能性を有しているかどうかは未解明である。本研究では、キイロショウジョウバエの野生型集団の共食い探餌能力と採餌能力に16世代の人為選抜を掛け、これらの点を検証した。共食い探餌能力の指標としては、60分で2.5 mmの距離から餌となる幼虫にどれだけ近づいたか、共食い採餌能力の指標としては、羽化率、発育期間と成虫の体サイズを用いた。集団サイズは1000個体として、選抜集団では、共食い探餌能力と採餌能力の高い上位9%の個体を選抜し、対照集団ではランダムに同数の個体を選び、次世代の親とした。人為選抜の結果、共食い探餌能力には継続的な上昇がみられた。共食い採餌能力に関しては、継続的な羽化率の上昇および、継続的な発育期間の短縮が見られた一方で、体サイズには変化がみられなかった。これらの結果から、キイロショウジョウバエの野生型集団の共食い能力は遺伝し、かつ16世代の人為選抜でも上限に達しない進化可能性を持つ事が示唆された。また選抜後実験として、共食い能力を集団間で正確に比較するために親バエの栄養条件をそろえ、その子孫で共食い能力を比較した。共食い採餌能力の測定は、餌として1日当たりに与える老齢幼虫の数を3、5、10匹とした3つの条件で行った。この結果についても今回の講演で報告したい。


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