| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨 ESJ66 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-288 (Poster presentation)
生物をモニタリングする方法として環境DNA(eDNA)分析手法が発展してきている。中でもeDNAメタバーコーディング手法を用いると、一度に多種のeDNAを検出することが可能である。eDNAメタバーコーディング手法は、これまで特に水生・半水生態系に生息しているもの、つまり魚や両生類など水と密接に関連している生物の検出に焦点を当ててきていた。しかし、近年の研究ではeDNA分析手法が哺乳類や鳥類を含む陸上動物を検出するためにも使用できることが示されている。多くのeDNA研究はたとえ陸上動物であっても、ヌタ場や河川などの水からの検出を実施している。しかし、元来水に触れる機会の少ない陸上動物の検出において、最適なサンプリング戦略は定かではない。そこで本研究では水に加えて陸上土壌のサンプリングも実施した。そして、両サンプリング方法にMiMammalプライマーを用いた哺乳類eDNAメタバーコーディング手法を適用し、得られたデータを比較しそれぞれの検出の特性を評価した。調査は2018年8月に兵庫県三田市羽束川、2018年10月に北海道旭川市大雪山系で行い、各地点河川水及び隣接した陸上土壌からサンプルを採取した。その結果、羽束川では11種、大雪山系では12種の哺乳類が検出された。また、どちらの調査地においても水及び土壌どちらからも検出された種、どちらか一方のサンプリングでしか検出されなかった種が存在した。水及び土壌における検出種数を比較した場合、どちら由来の方が多いかは地点によって様々であり、両サンプリング方法が相補的な役割を果たしていることがわかった。このことから、eDNAメタバーコーディング手法を用いて陸上動物をより正確に把握するためには、水及び土壌両方のサンプリングを行うべきであると言える。