| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-319  (Poster presentation)

都市化による植物群集の花色組成変化 【B】
Community-level flower color composition changes along urban-rulal gradient 【B】

*田中奎佑, 平岩将良, 清水健将, 中田泰地, 丑丸敦史(神戸大学)
*Keisuke Tanaka, Masayoshi Hiraiwa, Kensho Shimizu, Taichi Nakata, Atushi Ushimaru(Kobe Univ.)

 世界中で、都市化に伴う自然・半自然生態系の人工地への転換は、送粉者群集に影響を与えている。都市化の影響は送粉者機能群ごとに一様ではなく、都市では送粉者の機能群組成が周辺の生態系と異なることが報告されている。送粉者群集における機能群組成の変化は、相利共生相手である植物群集の形質の組成にも影響を与えうる。本研究では、植物の花色に着目し、その群集組成が都市化によって変化するのか、その変化は送粉者の機能群組成の変化によって説明されるのか研究を行った。
 阪神都市圏の都市域から里山域にかけて15地点の水田の畦畔植物群集を調査対象とした。開花した虫媒植物種について開花量と送粉者種およびその個体数を記録した。花色は、花弁などの主要な誘引器官の反射スペクトルを測定し、ハナバチおよびハエの色覚モデルを用いてカテゴリー分けを行った。また、反射スペクトルをそのまま評価する主成分分析(PCA)を行い、統計解析に用いた。解析では、都市化度(周囲1kmの人工地面積の割合)と各送粉者機能群の個体数、また花色カテゴリーごとの植物種数および開花量との関係、花色と送粉者相の関係について調べた。
 解析の結果、都市化度の上昇に伴い特に長口吻ハナバチ・ハエ目・甲虫が顕著に減少していた。また、都市化度の上昇に伴い、ハナバチ色覚モデルにおいて上記の3つの送粉者機能群が選好していた花色を持つ植物種の種数・開花量が有意に減少していた。ハエの色覚モデルやPCAを用いた解析では花色と送粉者相の間に有意な関係が見られなかった。
 本研究では、都市化の程度に依存して植物群集の花色組成が変化していたこと、その変化が送粉者の機能群組成の変化と連動していたことが世界的にも初めて示された。一方、ハエ色覚モデル・PCAを用いた解析では、花色組成の変化が見られたものの、送粉者相との関係は明らかではなかった。


日本生態学会