| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-412  (Poster presentation)

"クモ食性"クモにおける成長に伴うクモ食率変化
Ontogenetic dietary shift of "araneophagic" spiders

*鈴木佑弥, 池本美都, 横井智之(筑波大・保全生態)
*Yuya SUZUKI, Mito IKEMOTO, Tomoyuki YOKOI(Univ. of Tsukuba)

捕食者が捕獲可能な餌はサイズ比により制限されており、多くの捕食者は自身のサイズの増加に伴って異なる餌を選択・利用する。したがって、ある餌に特化した捕食形質を示す捕食者においても、体サイズの小さな幼体期において成体期と同じ餌を捕獲可能だとは限らない。とりわけ、捕食者を餌とする場合は、サイズの影響に加えて逆に捕食されるリスクを伴う。しかしながら、捕食者食いに特化した捕食者の成長過程を追った研究は限られているのが現状である。
 クモ食性クモ類は成体期にはクモ食に特化していると考えられているが、幼体期の食性は不明である。種によって採餌様式などの食性に関わる性質が異なるため、捕食者の成長がその食性に与える影響も種によって異なる可能性がある。そこで本研究では、クモ食性クモ類の成長に伴う食性変化の解明を目的とし、種間で採餌様式や採餌場所が異なる、ヤリグモ、オナガグモ、ムナボシヒメグモ、ヤマトカナエグモの計4種を対象として野外調査を行った。食性のパラメーターとしてクモ食率を用い、捕食者サイズがクモ食率に与える影響を解析すると共に、食性変化パターンや餌サイズと捕食者サイズの関係を種間で比較した。
 調査の結果、ヤマトは幼体期から成体期を通じてクモのみを餌とし、他3種は体サイズの小さな幼体期ほどクモ以外の餌も捕食する傾向にあることが分かった。また、4種とも成長に伴い餌サイズが増加したが、ヤマトは他3種に比べて自身の成長に伴いより大型の餌を捕獲する傾向にあった。これらの差異は種の特徴のうち採餌様式の違いと対応していた。
 以上から、クモ食性クモ類の成長に伴う食性変化は単一のパターンに帰結せず、捕食者の成長が食性にもたらす影響は種によって異なる可能性が示唆された。これらを踏まえ、食性変化と採餌様式の関係性について考察した。


日本生態学会