| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-417  (Poster presentation)

メタゲノム解析を用いた食性調査の試み~野生メダカを例に~
Metagenomic approach for diet analysis in wild medaka population

*山本永花(長浜バイオ大学), 三田村学歩(滋賀県立大学), 市川椋太(長浜バイオ大学), 嶺井隆平(長浜バイオ大学), 竹花佑介(長浜バイオ大学), 小倉淳(長浜バイオ大学), 西郷甲矢人(長浜バイオ大学)
*Haruka Yamamoto(Nagahama Inst of Biosci & Tech), Gakuho Mitamura(The Univ. of Shiga Pref.), Ryota Ichikawa(Nagahama Inst of Biosci & Tech), Ryuhei Minei(Nagahama Inst of Biosci & Tech), Yusuke Takehana(Nagahama Inst of Biosci & Tech), Atsushi Ogura(Nagahama Inst of Biosci & Tech), Hayato Saigo(Nagahama Inst of Biosci & Tech)

メダカ(Oryzias latipes)はモデル生物として世界中で使用されているが、自然界での生態は未だ十分に解明されていない。飼育下では3年程度生存することが知られているが、自然界では越冬して産卵した後、6月頃にほとんどの個体が死滅する。これは6月の梅雨の時期における動物プランクトンなどの餌生物の激減が原因とされているが、現在でも実証されていない。そこで本研究では、野生メダカの一斉死滅の原因を解明するための第一歩として、メタゲノム解析による食性調査法の確立、および腸内細菌叢と食性との関連調査手法の確立を試みた。
ここで問題となるのが、消化管の採集による食性調査は生態環境に対する影響が大きいことである。大型の魚類では口からチューブを消化管まで入れて胃内容物のみを採集できるが、メダカのようにサイズの小さな魚類では解剖によって消化管ごと取り出す必要があり、絶滅を引き起こしかねない。この問題を解決するため、糞を採集してて胃内容物及び、腸内細菌叢を把握する手法を提案・検討する。
 本研究では、琵琶湖周辺の野生メダカと、コントロールとして人工飼育下で餌条件の異なる2グループからそれぞれサンプルを用意し、それぞれから糞と消化管を回収してDNAを抽出した。食性調査には18S rRNA遺伝子 V9領域を、腸内細菌叢調査には16S rRNA 遺伝子V4領域を用いた。その後、illumina MiniSeqにより、それぞれの領域のアンプリコンシーケーシングを行い、18S はUSEARCH、16S はQiime2 パイプラインを用いてメタゲノム解析を行った。得られた結果から、食性調査・腸内細菌叢における糞と消化管の差、人工飼育下と野生での腸内細菌叢の差を中心に議論したい。


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