| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-504  (Poster presentation)

持続可能な水産物の消費に向けた地域格付け手法の開発
Development of a Local Rating Method for a Sustainable Seafood Consumption

*有見亜佐土(横浜国立大学), 松田裕之(横浜国立大学), 森俊彰(アクアマリンふくしま)
*Asato Arimi(Yokohama National University), Hiroyuki Matsuda(Yokohama National University), Toshiaki Mori(Aquamarine Fukushima)

近年、世界的な水産物の供給量増加と資源量減少に伴い、持続可能な水産物を消費者が選別するための認証や格付け評価が盛んである。国内でもそれらは取り組まれているが、評価手法の客観性、透明性、更新頻度などの面で十全とはいえない。また、日本においては福島第一原子力発電所事故以後の放射性物質への配慮も必要だと言われている。
以上より本研究では、諸課題をふまえ福島県(いわき市)における水産物の持続可能性を総合的に評価するため、持続可能性・安全性・地産地消の3つを評価項目とした、地域での新しい格付け手法を開発した。持続可能性は資源量の10年間での減少率、安全性は健康リスクに関する科学的知見、地産地消は福島県における水産物自給率により、評価基準を定めた。
結果、25種を評価することができ、特にヒラメ・カレイ類・ヤナギムシガレイの3種は総合的に推奨できる。安全性の観点から消費が避けられそうな底生魚の3種であり、これらを奨励していくことは価値があると思われる。一方、クロマグロは他の格付けが赤評価であるのに対し、持続可能性が黄評価となった。更新のしやすさや水産庁のデータ使用は現状のまま、今後は持続可能性の項目を国際的な批判に耐え得る、より適切な評価基準になるよう検討する余地がある。
そして何よりも、本研究の格付けは地域活性のインセンティブとなるよう、海域の設定など世界規模の格付けでは対応しにくい部分を考慮し、独立している評価項目など日本の消費者目線での開発を行うことができた。この格付けが環境教育などの文脈で使われ、地域での水産物格付け手法のモデルケースとなれば、地域規模で持続可能性を担保する一助となり、SDGsのゴール14などの達成に貢献し得るであろう。


日本生態学会