| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-073  (Poster presentation)

自動撮影カメラと3Dモデリングによるイノシシの体サイズ推定
Estimation of body size of wild boar using camera trapping and 3D modelling

*富澤眞柚(日本大学)
*Mayu TOMIZAWA(Nihon Univ.)

ニホンイノシシSus scrofaは,主に東北地方以南に分布する雑食性の中型偶
蹄目である.イノシシは,粘土質の土壌に形成された水たまりにおいて,その泥を
体表に付着させるための行動をとることがある.こうした場所を,「ぬた場」と呼
ぶ.イノシシがなぜこのような行動をとるのかについては,これまでにも幾つかの
仮説が唱えられてきた.代表的な仮説の一つが,「高温環境下に置かれた個体が,
体温の上昇を防ぐために行う」というものである.これまで飼育豚に関しては,こ
の仮説の妥当性が確かめられている.しかし,野生個体に関しては,十分に検証さ
れていない.本研究は,房総半島の地点のぬた場に自動撮影カメラを設置し,とく
に気温とぬた打ち行動の生起頻度の関係を明らかにすることにした.この結果, ぬ
た打ちの生起頻度は気温上昇と正の相関があることが確かめられた.すなわち,野
生イノシシにおいても,ぬた打ちが体温を下げるために行っている可能性が示唆さ
れた.しかし,気温が低い時期でもぬた打ちがみられることから,他にも目的があ
ると考えられた.


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