| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-115  (Poster presentation)

植物における季節的な前歴環境による直接・間接プライミング
Direct and indirect priming by seasonal environments in plants

本庄三恵(京都大・生態研), 村中智明(京都大・生態研), 伊藤佑(京都大・生態研), 西尾治幾(京都大・生態研), 榮村奈緒子(京都大・生態研, 鹿児島大・農), *工藤洋(京都大・生態研)
Mie N Honjo(CER Kyoto Univ.), Tomoaki Muranaka(CER Kyoto Univ.), Tasuku Ito(CER Kyoto Univ.), Haruki Nishio(CER Kyoto Univ.), Naoko Emura(CER Kyoto Univ., Dept. Agr. Kagoshima Univ.), *Hiroshi KUDOH(CER Kyoto Univ.)

あらかじめ経験した弱いストレス刺激により、その次に経験する強いストレス刺激に対する応答性が高まる現象をプライミングと呼ぶ。応答性を誘導するプライミング刺激と耐ストレス性が発揮されるターゲット刺激が同じ要因であるのが、直接プライミングである。また、プライミング刺激とターゲット刺激が異なるのが間接プライミングである。発表者らは、アブラナ科の野生植物ハクサンハタザオ(Arabidopsis halleri subsp. gemmifera)の自然集団において、抑制型ヒストン修飾であるH3K27me3のエピゲノム状態が同調的に変化することを発見した。その役割の一つとして、季節シグナルをプライミング刺激とし、別のストレス要因がターゲット刺激となる季節プライミング(同調的間接プライミング)が存在するのではないかと考えた。そこで、マルチインキュベータを用いた前歴環境の操作実験により、温度ストレスに対する直接プライミング効果と、ウイルス感染に対する間接プライミング効果を評価した。季節環境に近似させた温度・日長条件での栽培を行い、凍結耐性、ウイルス感染に対するプライミング効果を検出した。トランスクリプトーム解析の結果を解析することで、ハクサンハタザオを宿主とするカブモザイクウイルスTuMV感染に対する応答として、特定の季節環境がワクチンのような効果を持つか(感染初期状態に似たトランスクリプトームを示すか)どうかを検証した。


日本生態学会