| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-136  (Poster presentation)

タイの混合落葉林におけるDillenia parviflora Griff.の開花時期とその決定要因
Environmental factors determining the timing of blooming of Dillenia parviflora Griff. in a drought-deciduous forest in Kanchanaburi, Thailand

*前田高尚(産業技術総合研究所), Samreong PANUTHAI(DNP, Thailand), 石田厚(京大生態研センター)
*Takahisa MAEDA(AIST), Samreong PANUTHAI(DNP, Thailand), Atsushi ISHIDA(Kyoto University)

 タイ西部カンチャナブリ県にあるタイ国立公園野生生物保護局メクロン流域研究ステーション内の混合落葉林(熱帯季節林)にある高さ40m森林観測塔(14o 34' 34"N 98o 50' 37"E)において、日々林冠定点映像を記録している。2005年から12年分の映像から検出したDillenia parviflora Griff.の開花日と現地気象データから、検出された12回の開花のうち9回は、本格的に乾季に入った1月以降で最初のまとまった降水をきっかけとし、この乾季半ばの雨はタイ・カンチャナブリの春一番ともいうべきものであると推察されることを2018年大会(P3-088)において発表した。
この中において、1月以降初回の降雨では開花せず、複数回の降雨を経た後に開花した年があり、開花を遅らせる要因の存在が示唆された。
Dillenia parvifloraは常に落葉した状態で開花することから、森林観測塔直近にある指標木の毎年の落葉完了日を林冠映像から検出し、開花日および森林観測塔で連続測定している土壌水分量の時系列との比較をした結果、ほぼすべての年において落葉時期と開花日との間のまとまった降雨は1回のみで、落葉時期と開花日の間の日数は年により大きく異なっていた。これにより、落葉後最初のまとまった雨が開花のきっかけになっていることが分かった。


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