| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-194  (Poster presentation)

既知コピー数のDNAを用いた環境DNA解析における精度管理方法の開発
Development of the quality control method in eDNA analysis using a known number of DNA molecules

*大﨑優介(株式会社リコー), 松平崇弘(株式会社ファスマック), 西山依里(株式会社ファスマック), 中澤聡(株式会社リコー), 米川侑希(株式会社リコー), 瀬尾学(株式会社リコー), 布藤聡(株式会社ファスマック)
*Yusuke OSAKI(RICOH COMPANY, LTD.), Takahiro MATSUDAIRA(FASMAC CO., LTD), Eri NISHIYAMA(FASMAC CO., LTD), Satoshi NAKAZAWA(RICOH COMPANY, LTD.), Yuki YONEKAWA(RICOH COMPANY, LTD.), Manabu SEO(RICOH COMPANY, LTD.), Satoshi FUTO(FASMAC CO., LTD)

NGSを用いて水圏環境の生物種を網羅的に解析する手法が隆盛している。
魚類を例にとると、環境水から抽出したDNAを解析用プライマー(MiFish)で増幅させて魚類由来の塩基配列のリードを得ることで、各魚種由来の塩基配列の割合から優占種、希少種を割り出すことができる。
一方で、得られたリード数が少ない種が環境中に実在したか否かは解析上の課題であり、例えばシーケンスエラーによって取得されるリードなどもあるため、リード数がどの程度あればその種が環境に存在したと言えるのか、これまで明確な基準はなかった。

我々はインクジェット技術を用いて、細胞の個数の計測をしながらPCR反応容器に分注する方法を開発し、細胞からDNAを取り出すことで各ウェルに特定コピー数のDNAを1コピーから用意することに成功した。また、特定コピー数のDNAを標準試料としてサンプルに添加し、ライブラリー調製とNGS解析を行ったところ、コピー数と相関があるリード数を得ることができ、本技術が、NGS解析の精度管理の指標となる可能性を示した。さらに本技術に基づいた標準試料1コピー由来のリード数を閾値として、標準試料のリード数以下の配列はエラーとして除けば、上記課題を解決することができるのではないかと考え、今回検証を行った。

まず3種の魚組織から抽出したDNAを用いて上記コンセプトを確認し、次に相模川で採取した環境水から抽出したDNAを用いて相模川魚類相の解析を行った。また、特定コピー数を複数水準用意することで検量線を作成し、定量分析も試みた。本研究結果について今回報告する。


日本生態学会