| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-195  (Poster presentation)

SNSを活用して共生関係の謎を解く:スガイ&カイゴロモ全国調査
Using SNS to solve the mystery of symbiotic relationships: the census survey of marine snails & epibiotic algae

*香川理(東北大学), 内田翔太(東北大学), 大澤祐美子(九州大学), 山崎大志(東北大学), 千葉聡(東北大学)
*Osamu KAGAWA(Tohoku Univ.), Shota Uchida(Tohoku Univ.), Yumiko Ohsawa(Kyushu Univ.), Daishi Yamazaki(Tohoku Univ.), Satoshi Chiba(Tohoku Univ.)

 市民参加型調査は生物の分布や多様性情報といった基礎データ収集にとって強力なツールであり、生態学教育、普及の面からも注目をされている。近年ではスマートフォン・タブレット端末・デジタルカメラの普及により市民が簡単に生物の写真撮影、撮影場所の緯度経度情報の入手、SNSを通じて情報の普及・共有が可能になってきた。そのため対象となる分類群に詳しくない市民でも簡単に情報を専門家に提供することができるようになり、専門家は得られた知見を簡単に市民へ還元できるようになりつつある。
 本研究で注目した日本沿岸の潮間帯に生息するスガイLunella coreesnsisは、しばしば、貝殻上に緑藻カイゴロモPseudocladophora conchopheriaを付着させる。カイゴロモの付着量はスガイの生息環境によって異なるといわれているが、網羅的な分布調査は行われていない。両者の分布の重複度やカイゴロモの付着に影響を与える環境要因を調べることで、共生関係の解明の一助になると考えられる。
そこで我々は、「スガイ&カイゴロモ全国調査」プロジェクトを2018年4月に立ち上げた。SNSを介して、日本全国から写真を収集し、解析することで、1)スガイとカイゴロモの詳細な分布情報、2)スガイへのカイゴロモの付着量と生息環境の相関、3)カイゴロモがスガイ以外の基質を利用していないか、以上の3つの解明を目的としている。
 2019年2月現在までに、日本全国57地点174個体のスガイ写真が収集された。本発表では、これまで得られたデータをまとめ、途中経過を発表する。


日本生態学会