| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-196  (Poster presentation)

幼少期の自然体験が自然に対する嫌悪や恐怖に与える影響
Effects of childhood nature experience on negative affective attitudes toward nature: a case of Japanese university students

杉山直之(首都大学東京), 保坂哲朗(広島大学), 髙木悦郎(首都大学東京), *沼田真也(首都大学東京)
Naoyuki Sugiyama(Tokyo Metro. Univ.), Tetsuro Hosaka(Hiroshima Univ.), Etsuro Takagi(Tokyo Metro. Univ.), *Shinya NUMATA(Tokyo Metro. Univ.)

自然環境への関心の形成において幼少期の自然豊かな遊びの経験が重要であることが示唆されている。自然環境に対する嗜好性の議論の多くは、自然環境に対する好みや満足度で評価されることが多いが、嫌悪や恐怖といった自然環境に対する負の印象が影響について議論した研究は少ない。本研究では学生を対象としたWEB形式のアンケート調査により、幼少期における居住地域の自然環境の評価、自然環境が幼少期体験の評価について及ぼす影響、幼少期の自然環境が自然に対する嫌悪や恐怖の関係について分析した。その結果、幼少期の居住地域における自然環境に対しては主観評価と客観評価(居住地付近の緑地面積)の間には有意な正の相関関係がみられたものの、幼少期の居住地域の緑地面積が少なくとも、自然環境が豊かであると評価した回答者が多数いた。また、自然に対する嫌悪や恐怖に対する評価は、幼少期の自然体験が豊富な人ほど低かった。また、性別が有意な影響を与えており、女性に比べて男性の方が嫌悪や恐怖の評価が低くなることを明らかにした。一方、両親の自然に対する関心が高いほど、また幼少期の居住地域の自然環境が豊かであるほど自然体験量が多くなり、これらの項目は間接的に自然に対する嫌悪や恐怖に影響を及ぼしていることが明らかになった。


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