| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-398  (Poster presentation)

アクションカメラを用いて安価に作成するミニライゾトロン(根カメラ)
Self-making inexpensive minirhizotron (root camera) using action camera

*高木正博(宮崎大学)
*Masahiro TAKAGI(Univ. of Miyazaki)

水平方向360度撮影が可能な魚眼レンズを装備したアクションカメラ(コダック SP360)を用いて,3万円程度の費用でミニライゾトロンを自作した。このシステムの長所は,1) 安価なこと,2) パイプの設置が容易であり多点を稼げること,3) 電源も含めて軽量であること,が挙げられ,短所は,1) 自作しなければならないこと,2) 画像処理に手間がかかること,である。
 アクションカメラ(コダック SP360)は実売価格2万数千円である。ほか材料費として照明用LED,支持金具,LED用バッテリーなどが必要である。埋設パイプは外径66 mm,肉厚2 mmの市販のアクリルパイプであり1 m長で約5千円である。このパイプ径の穴は市販の穴径7 cmのハンドオーガー(例えば大起理化工業製)で空けることができる。パイプを継ぎ足すか切断することによって任意の深さの画像を得ることができる。
 調査地ではスマートフォンにインストールした純正アプリにより撮影し,その後カメラからパソコンに画像を転送する。パソコンにインストールする純正ソフトでは,天頂部を除いた水平線に近い部分の円筒状の画像を得ることができる。深さ4 cm分の画像が採用可能である。したがって,撮影時にも4 cmごとにカメラを沈めながら撮影することになる。撮影される画像はひずみが大きい(=正方形がゆがむ)ので,これを取り除く画像処理が必要である。修正画像を画像処理ソフトでつなぎ合わせることにより,パイプ全体の画像を得ることができる。
 深さ50 cmの画像を撮影するのにかかる時間は数分程度である。LEDの消費電流は実測で0.066 Aであった。スキャナ法と比較した際の長所は,任意の深さの画像が撮影可能なことと,パイプが入手しやすく埋設が容易で撹乱が小さいことと考える。


日本生態学会