| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-21  (Poster presentation)

越谷北高校周辺の水生生物を探る
The research of creatures living in channels around Koshigaya-kita high school

*川上瞭, 木本颯, 小山凌太郎(越谷北高等学校)
*Akira Kawakami, Kakeru Kimoto, Ryoutarou Koyama(Koshigaya-kita high school)

私たちは用水路にどのような在来種や外来種が生息しているのか、水田の減少による影響はどのようなものかを調べるため、一昨年から調査を行っており、今年度も採集調査を行った。採集した魚類、オタマジャクシは液浸標本にし、体長を測定した。アメリカザリガニの頭の先から尾の先までの長さを測定した。
採集した主な生物は、在来種はドジョウ、モツゴ、外来種はアメリカザリガニ、カラドジョウで、3年間を通じ、種の頻度が高い生物種は変わらなかった。それらの種は用水路という環境に適応し、用水路内および周辺での生活サイクルが確立されており、水田の減少の影響も受けやすいと考えられる。その他の生物は、主に用水路に接続する河川に生息し時々用水路に侵入する種か、そもそも個体数の少ない種と考えられる。アメリカザリガニは体長の小さい個体が時間の経過につれて少なくなっており、小さな個体の多くが、コイやギンブナ、タモロコ等の魚類などに捕食されていると考えられる。ドジョウとカラドジョウのサイズの分布は似ていたが、共通の時期に繁殖しており生活環の重なりが大きいためと考えられる。モツゴとドジョウ類のサイズの分布を比べると、モツゴの方が小さい個体の割合が大きく、分布の散らばりが大きいため、モツゴはドジョウより繁殖時期が早く、長く続いていたと考えられる。
今後は用水路と同時に周辺の河川の生物も調査し、用水路と河川を生物が行き来する様子を観察したい。小さいアメリカザリガニを、コイやギンブナ、タモロコ等の魚類が捕食するかや、ドジョウとカラドジョウの環境選好性を調べるために、生息する環境についても詳しく調べたい。また、水田で使われている農薬が用水路内の水質とその周辺の生態系にどのような影響を及ぼすのかも調査したい。生態調査については今後も継続し、用水路やその周辺の生態系について理解を深めたい。


日本生態学会