| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-64  (Poster presentation)

尼崎運河におけるチチブとヌマチチブの雑種の探索
Search for the hybrids between Dusky tripletooth goby and Japanese trident goby in Amagasaki canal

*中西優希奈, 大路紘裕, 江村郁琉, 田中愛, 山木文汰, 藤堂恭行(兵庫県立尼崎小田高校)
*Yukina Nakanishi, Kousuke Oji, Ikuru Emura, Ai Tanaka, Ayata Yamaki, Takayuki Toudou(Amagasaki-Oda H. S.)

チチブTridentiger obscurusとヌマチチブTridentiger brevispinisの塩基配列は非常に類似しており、「mtDNAの系統」は「種の系統」ではなく移入交雑の歴史を反映しているものと考えられている。先行研究においてはアイソザイム分析による遺伝的分化が示されている。また両種の雑種の記録は淀川や茨城県涸沼などで報告されている。
本校チチブ類研究班は核DNAによる遺伝的分化の確認と両種の判別方法として、核DNAのRAG1、GRR85およびRYR3の3領域について遺伝子マーカーを特定しシーケンス結果から両種を判別できることを示した。またGRR85について制限酵素MseI、RYR3について制限酵素BmgBIおよびFokIが有効であることを確認した。
兵庫県尼崎市の尼崎運河は臨海地域に立ち並ぶ工場にかかわる材料や製品の運搬のために整備された運河である。全長は6.9キロメートル、蓬川(よもがわ)・庄下川・旧左門殿川の臨海域を流れる3つの河川をあわせた全長は12.4キロメートルにもなる。尼崎運河は、全域が防潮堤等により外海から閉鎖された水域となっているため、水の循環がほとんどない。水深2m以下の底では年間を通じて酸素が極端に少なく、生物の生息が困難なため、水を浄化する機能も働かない。地元のこの運河には多数のチチブ類が生息する。形態観察および遺伝子解析によりこの尼崎運河のチチブ類を解析し両種の構成比や両種の雑種の存在を検証する。


日本生態学会