| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-72  (Poster presentation)

埼玉県における野生アライグマの生息状況
Inhabitation of feral raccoon (Procyon lotor) in Saitama Prefecture

*Honoka Mouri, Ryosei Kobayashi, Haruka Sogawa, Haruna Ichimura, Mizuki Okuzawa, Rui Kaneko, Takeru Kikuchi, Daiki Takahashi, Haruka Taguchi, Kotomi Takatsu, Honoka Namiki(Warabi High School)

 埼玉県の高等学校を中心とした研究団体「チームアライグマ」は、2014年より継続してアライグマの生態調査を行なっている。2014年に実施した寺社や空き家でのアライグマの爪痕調査では、各校より500地点を超える情報が集まり、アライグマの生息しやすい環境に一定の示唆を与える成果が得られた。しかし、アライグマの生息情報や捕獲情報があるにも関わらず、爪痕調査の手が届いていない地域も多く存在する。特に埼玉県南部地域(さいたま市、戸田市、上尾市、川口市など)や秩父地方において、アライグマの爪痕調査の情報が不足している。また、この調査が行われた2014年より4年が経過し、アライグマの生息状況も変化していることが予想される。そこで本研究では、前回、爪痕調査が行き届かなかった地域の爪痕調査を重点的に行ない、アライグマの生息しやすい環境を検討した。さらに、2014年に爪痕調査を実施した寺社を再度調査し、どのような環境でアライグマの生息域が拡大したかを検討した。
 調査の結果、地域住民や県の捕獲情報からアライグマの生息情報はあるものの、寺社においてアライグマの爪痕はほぼみられなかった。しかしながら、アライグマの生息域は東京都心まで拡大していることから、アライグマは寺社をあまり利用しておらず、他の環境を利用して生息域を拡大させている可能性が示唆された。今後、より詳細にアライグマの生態を知るためには、寺社における爪痕調査に代わる調査方法の確立が必要であると考えられる。また、さいたま市桜区の秋ヶ瀬公園での目撃情報をもとに、この個体の生息域を追うことで、アライグマの好む環境が調べられそうである。当面は爪痕調査を継続するとともに、爪痕調査以外の調査方法も検討し、アライグマの生態をより詳細に調べていきたいと考えている。


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