| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-79  (Poster presentation)

普通ヒドラがグリーンヒドラに与える影響
The study of effects of Hydra magnipapillata on Hydra viridissima

*梁瀬智輝(福岡県立城南高等学校)
*Tomoki Yanase(Fukuoka Jonan High school)

本校生物部では2016年より普通ヒドラ(チクビヒドラ)の増殖に関する研究を行っており、グリーンヒドラと普通ヒドラの増殖率の違いに興味をもったため、普通ヒドラとグリーンヒドラの増殖の違いや種間の影響について調べた。初めに、2種を光の有無や単独・混合などの条件で6群(A~F群)に分け、シャーレ内での個体数の増殖率を調べた。結果、C群(光ありの混合)はB群(光ありのグリーン単独)よりも平均11.7%低くなり、またF群(光無しの混合)はE群(光無しのグリーン単独)よりも平均16.1%低くなった。混合飼育の場合、グリーンヒドラは普通ヒドラから何らかの影響を受けて増殖が抑制されたと考えられる。次に、混合飼育時の位置の変化について調べた。普通のみを20匹、またはグリーンのみを20匹入れた試験管をそれぞれ4本、2種を10匹ずつ混合させた試験管を8本用意した。全体をアルミホイルで覆い、24時間後に底からどれだけ移動したかを記録した。結果、底にいつづけた個体数は単独条件では普通が平均87.5%、グリーンヒドラが平均82.5%と8割を超えたのに対し、混合条件においては普通ヒドラが平均88.8%、グリーンヒドラが平均37.5%と大きく減少していた。よって、混合条件下においてグリーンヒドラは普通ヒドラから離れようとしているのではないかと考えられる。さらに、具体的に何が作用しているかを調べる実験を行った。グリーンヒドラを1匹ずつ入れた3つのシャーレに触手を切除した普通ヒドラをそれぞれ1匹、2匹、3匹入れて、普通ヒドラの数は固定したままグリーンが10匹に到達するまでの日数を記録した。結果、順に24日、24日、27日となり、大きな差異は見られなかった。また、15分間普通と接触させたグリーンヒドラの表面を顕微鏡で観察すると、刺さっている多くの刺胞が確認できた。よって、グリーンヒドラの増殖の抑制は普通ヒドラの刺胞による直接攻撃である可能性が高いと考えられる。


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