| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨 ESJ66 Abstract |
自由集会 W14-3 (Workshop)
生物多様性と生態系機能の関係は多様な生態系で研究され、種多様性が高いと生産性が高いという結果が多く報告されている。人間社会にとって生態系機能の高さだけでなく、安定的に機能が保たれるということも重要である。そこで、近年は生物多様性の高さと生態系機能の安定性に関する研究も見られるようになってきた。しかし森林の場合、生産性を毎年計測したデータというのは限られており、野外データによる検証は進んでいない。そこで我々は、モニタリングサイト1000森林調査のコアサイトのデータを用いて、毎年の地上部木部成長量の安定性と種多様性の関係を解析した。種多様性と安定性の間には関係が見られなかった。しかし、樹種間で非同調的に成長量が変動している森林ほど、森林全体の成長量の安定性は高いという結果になった。このことは、多様性そのものというよりも、構成種の反応の多様性が、生態系全体の機能の安定性と関係していることを示唆している。