| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


自由集会 W14-5  (Workshop)

市民参加のモニタリングでわかってきた陸生鳥類の変化
Changes in Land birds by monitoring citizen participation

*葉山政治(日本野鳥の会), 植田睦之(バードリサーチ), 森本元(日本野鳥の会)
*Seiji Hayama(Wild Bird Society of Japan), Mutsuyuki Ueta(Japan Bird Research Assoc.), Gen Morimoto(Wild Bird Society of Japan)

モニタリングサイト1000の森林生態系の陸生鳥類では、毎年調査を行うコアサイト20箇所と、5年を1周期として調査を行う準コアサイトと一般サイト約400箇所の構成で調査を継続している。これら多数の地点での調査は市民参加で行われている。第1期(2004年越冬期~2008年)にはサイトの選定を進めつつ、2009年以降はスポットセンサス法で統一した調査を継続している。
調査方法が統一された第2期以降の変化を見ると、森林環境の鳥類の状況は比較的安定していることが示された。しかしキビタキやリュウキュウサンショウクイのように個体数増加や繁殖分布範囲の拡大した種や、下層植生に依存して繁殖するウグイスなどの減少が確認された。この減少はシカの影響による植生の被害の結果と思われる。一方、植生の階層別の被度ランクと繁殖鳥の個体数変化には、有意な関係は見出されず、別の要因が寄与している可能性も考えられた。
繁殖鳥のさえずり時期のフェノロジーについては、留鳥のヤマガラでは4月までの積算気温が関係し、夏鳥のキビタキ等では渡来時期の平均気温が関係していると考えられた。


日本生態学会