| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


自由集会 W31-4  (Workshop)

撹乱サイズ分布と個体群ダイナミクス
Disturbance size distribution and plant population dynamics

*中河嘉明(滋賀大・DS)
*Yoshiaki Nakagawa(Siga Univ .)

森林のダイナミクスの理解・予測は、植物個体群生態学の重要なテーマの1つであり、森林を模した数値モデルのシミュレーションを用いて多くの研究がなされてきた。このようなシミュレーションモデルでは、森林ダイナミクスの主な駆動因として樹木間の競争が導入されているが、近年では、さらに火災などの撹乱を考慮できるように拡張されたモデルも数多く作られている。しかし、このようなシミュレーションモデルの中の撹乱は、撹乱のサイズ分布が正しく考慮されていないことが多い。火災などの撹乱のサイズ分布は、裾野が長いべき分布に従うことが知られているが、これらのシミュレーションの中で発生する撹乱のサイズは裾野の短い分布である。このような撹乱の規模が正しく考慮されていないシミュレーションでは、撹乱の森林ダイナミクスに与える影響は正しく評価されない可能性がある。本研究では、このような撹乱サイズのべき分布を考慮し、撹乱が森林ダイナミクスに与える影響や、この分布を特徴づける冪指数の変化に伴う影響の変化について、シミュレーションの結果を用いて考察する。また、ギャップモデルと呼ばれるシミュレーションモデル(格子状の小さいパッチごとに植物間の競争を平均場近似したモデル)を用いて、べき分布に従う撹乱の森林ダイナミクスに対する影響を評価した先行研究があるが、この種のモデルが撹乱の影響評価において不適であることも示す。


日本生態学会