| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(口頭発表) B02-09  (Oral presentation)

甲虫の’硬さ’は鳥類からの捕食回避に有効か? 【B】
Does 'hardness' of Coleoptera function as defense against avian predators? 【B】

*小島渉(山口大学)
*Wataru KOJIMA(Yamaguchi Univ.)

甲虫目をはじめとする多くの昆虫は硬い外骨格を持つ。このような硬い体は、捕食者に対する物理的な防御機能があると考えられてきたが、実証例はほとんどなかった。本研究ではコガネムシ科の硬い前翅が鳥類捕食者に対する防御機能を持つかを、室内実験により検証した。大きさや系統の異なるコガネムシ科8種の、前翅を除去した柔らかい個体と無処理の硬い個体をウズラに与え、生存率などを比較した。その結果、ハナムグリ亜科の一部の種では、前翅を除去したすべての個体が捕食されたのに対し、無処理の個体のほとんどはウズラによる攻撃を受けても生存しており、また、体に大きな損傷も見られなかった。一方で、小型の種の多くや一部の大型の種では、前翅による防御効果はほとんど見られなかった。これらの結果から、甲虫の前翅は鳥類からの物理的防御機能を持つが、その効果には大きな種間差が存在することが明らかとなった。さらに、硬い甲虫を経験したウズラの中には、それを学習・記憶し、数日間避け続けるものも見られた。このことから、コガネムシ科において、物理的防御に基づいた警告色や擬態が進化する可能性が示唆された。


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