| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(口頭発表) C01-08  (Oral presentation)

土地利用と外来種が沖縄アリ群集の時間的変動に与える影響 【B】
Effects of land cover and invasive species on temporal variability of Okinawan ant communities 【B】

*Jamie Michael KASS(OIST Grad. Univ.), Ian DONOHUE(Trinity College Dublin), Evan P ECONOMO(OIST Grad. Univ.)

地球規模で環境が変化する中、生物多様性の時間的モニタリングが必要である。特にアリは生態系への影響が大きいので、アリの群衆変動をモニターしたら、そのための指標となる。沖縄の生物多様性モニタリングシステム「OKEON」で86種のアリの密度を24ヶ所の様々な生息地で2週間おきに取得した。外来種と在来種の違いを調べるため、1年間の群集変動を解析し、土地利用変数との関係を調べた。サイトにより在来種と外来種を別々に、アリ群集の時間変動を二つの方法で推定した。全体的な方法は変動係数(CV)で、群集構造の方法はベータ多様性(多変量分散解析=multivariate dispersion analysis)だった。密度データのサンプリングエラーに対処するため、ヌルモデルでサイトごとの群集を100回リサンプルし、再び同じサイトの解析をした。それに実データとヌルデータの効果の違いを効果量(standardized effect size)で測った。その結果、サンプリングエラーを考慮したら、効果量と土地利用変数の相関が変動係数に対して変わらなかったものの、群集構造時間変動との相関が逆になった。全般に、在来種の方が密度の低くい一因で群集構造変動が高くて、外来種の方がサイト変動係数に土地利用変数と相関していた。興味深いところに、時間変動の統計は土地利用に相関関係があったが、アルファ多様性はあまりなかった。新しい密度データが年々蓄積されるほど、沖縄のアリの群集変動が更に明らかになり、気候変動が沖縄の生態系に与える影響をより良く予測できるであろう。


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