| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(口頭発表) E01-01  (Oral presentation)

侵略的外来種:世界の「どこで」「なにが」「どのような」問題を起こしているのか?
Exploring CABI's Invasive Species Compendium

*池上真木彦(国立環境研究所)
*Makihiko IKEGAMI(NIES)

人類の経済活動は輸送手段や通信技術の発達に伴い急速に拡大しており、日本と海外を往来する人や物も近年大きく増加している。それと同時に外来生物の侵入機会も増加し、生物多様性保全の観点からその定着や分布拡大の阻止は喫緊の課題とされる。外来生物の定着阻止を図る上で、各国での分布やその被害、そして侵入拡大経路の特定はリスク管理情報として重要であり、主要な外来生物に関しては知見の収集が進められてきた。しかし、外来生物の分布や生態的特性そして侵入経路は多岐にわたり、限られた予算や人材で、すべての種を把握・管理することは容易ではない。そこで今回、様々な外来生物の被害や侵入拡大経路を推定するための手法開発として、Centre for Agriculture and Bioscience International(CABI)が作成している外来生物情報サイトより、外来生物の国別分布や被害、そして侵入拡大経路の情報を抽出し分析を試行した。本講演ではまず外来生物の国別分布を概観し、日本の外来生物相の位置付けを行う。続いて外来生物が生物多様性や人間社会に与える影響とその侵入拡大経路を説明する。そして、分布や種特性、侵入拡大経路などの比較を通じて、日本において今後警戒を要する高リスクの生物種や侵入経路を特定し、侵入・定着防止策に結びつけるプロセスを検討する。


日本生態学会