| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨 ESJ67 Abstract |
一般講演(口頭発表) E01-07 (Oral presentation)
近年、増加する耕作放棄地の草地管理に草食家畜であるヤギを利用することが注目されている。本研究では、高知県長岡郡大豊町の耕作放棄地において、ヤギの除草面積を推定することを目的とした。調査地は、耕作放棄地の中に放牧が始まって6年経過した放牧区(1615 m2)に設定し、調査は2016年および2017年の2年間行なった。ヤギは、日本ザーネン種の雌であるモモコ(調査時点で5–6歳、平均体重45.4 kg)とアイコ(4–5歳、42.4 kg)の2匹を対象とした。ヤギの除草面積は、ヤギの採食量と植物成長・再生量より推定した。ヤギの採食量は、採食に伴う体重変化量と糞と尿の排泄量の和とした。単位面積当たりの植物成長・再生量は、一定面積の定期的な刈り取り調査より推定した。植物の成長が顕著な5–10月の6か月間の採食量は、モモコが831 kg、アイコが703 kgであった。放牧区の植生はヨモギが優占しており、6か月間の単位面積当たりの植物成長量は1.92 kg/m2であった。その結果、除草面積はモモコが433 m2、アイコが366 m2と推定された。ヤギの体重当たりの除草面積はモモコが9.54 m2/kg、アイコが8.64 m2/kgと推定された。推定された体重当たりの除草面積は、ヤギの維持に最低限必要な1日当たりの飼料量である維持飼料量を基に算出した値とほぼ一致していた。