北海道東部に位置する野付湾は，湾内全域にアマモが分布する野付砂嘴に囲まれた内湾である。この湾には大きく5河川が流下しており，その内3河川流域は，草地酪農開発が大規模に行われている。このことによって，河川水中の窒素等の物質濃度が上昇しており，アマモの生育重量に影響を与えている。河川水の硝酸態窒素・カリウム濃度とアマモ生育重量との間には相関が見られなかった。一方，土壌粘土由来と考えられるアルミニウム濃度との間には負の相関が見られた。これらのことから，草地酪農開発と購入飼肥料由来の窒素投入量の増加は，土壌粘土由来のアルミニウム濃度を上昇させ，アマモ生育重量を抑制している可能性がある。