| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨 ESJ67 Abstract |
一般講演(口頭発表) F01-03 (Oral presentation)
2016年〜2017年の冬期モニタリングでは、新潟県の養鶏場や新潟市近郊で高病原性鳥インフルエンザが発生した原因を究明する。新潟市近郊や佐渡島で被害の発生前後に亘って集められた野鳥のサンプル302個(気管・下部腸管・糞便)の解析結果を報告する。佐渡島及び新潟市近郊における健全な野鳥がどの程度のウィルス量を保有しているか調べる為に比較的安定なMセグメントを用いて野鳥のウィルス量を算定した。野鳥の組織(気管、下部腸管、糞便)から合成したcDNAを段階的に希釈しPCRで同定することでウィルス量が算定された。11月7日時点で、新潟市近郊の野鳥の糞便からはウィルスは全く検出されず、その1週間後(11/15)、佐渡島及び新潟市近郊の野鳥の組織から合成したcDNAを1万倍希釈してもウィルスが検出できる程、健全な野鳥が膨大なウィルスを保有していた。その後、県内の養鶏場で鶏の高病原性鳥インフルエンザウィルス感染により鶏が殺処分された。また、新潟市近郊では、ハクチョウ類が連続して死亡した個体から高病原性鳥インフルエンザウィルスが検出された。このような感染事例が発生した原因は、大量のウィルスが環境中に排出されたからであることがMセグメントを用いた解析で示唆された。さらに、前半のリスク:佐渡で捕獲されたオナガガモ1(11/15 , 11/20 )、カラス1(11/20), 後半のリスク:マガモ1(12/27, 12/27, 12/27), マガモ2(1/4, 1/4, 1/5), マガモ3(1/6, 1/6, 1/7), カラス2(1/4, 1/8)からH5N6が検出された。その後(2/4)、ウィルスは全く検出されなくなった。後半のリスクは行政と養鶏家が迅速で適切な防疫対策を実施したため回避された。