| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(口頭発表) F02-01  (Oral presentation)

産学官で琵琶湖のヨシ刈りの炭素回収量を考える:参加型現存量調査と群落高法から
Carbon capture estimations by the reed cutting around Lake Biwa based on participatory biomass researches and the overstory height method

*林竜馬(滋賀県立琵琶湖博物館), 山田直明(滋賀県琵琶湖環境部), 太田俊浩(コクヨ工業滋賀), 竹田勝博(葭留)
*Ryoma HAYASHI(Lake Biwa Museum), Naoaki YAMADA(Shiga Prefecture), Toshihiro OOTA(KOKUYO Product Shiga), Katsuhiro TAKEDA(Yoshitome)

琵琶湖周辺のヨシ群落において、ヨシ刈り活動で回収される冬季の地上部現存量を推定することを目的として、参加型刈り取り調査を実施し、群落高法の応用についての検討を行なった。西の湖のヨシ群落において2016~2018年に3×3mのプロットで実施した調査の結果、冬季の地上部現存量は平均で900±230 g/m2であった。ヨシ群落の冬季地上部現存量は、森林の1年間での現存量増加量と比較しても同等の値を示した。ヨシ群落において1×1 m プロットで行った調査結果では、3×3 m プロットでの冬季地上部現存量より大きな値を示す地点も認められ、既往研究による小面積プロットでの調査結果は実際の本数密度と地上部現存量を過大評価している可能性がある。琵琶湖周辺におけるヨシ群落の稈高と冬季の地上部現存量との関係から、群落高法に基づく関係式を推定した。群落高法に基づく推定では、琵琶湖周辺における平均稈高2 m・3 m・4 mのヨシ群落において、冬季の地上部現存量はそれぞれ330 g/m2・660 g/m2・1070 g/m2となった。滋賀県では、本研究で開発した群落高法に基づく冬季のヨシ群落の地上部現存量の簡易推定手法を活用して、ヨシ刈り活動による炭素の回収量を「見える化」し、県がそれを認証する新たな制度の構築について産学官が協働で検討を進めている。


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