| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨 ESJ67 Abstract |
一般講演(口頭発表) F02-05 (Oral presentation)
環境DNA分析は特定の種や分類群の分布を迅速に推定する手法として急速な発展を遂げている。しかし、環境DNA分析を種内変異の定量的な検出に適用し、個体群の遺伝的構造や遺伝的多様性を推定した事例は未だ極めて限定的である。演者はコイ(Cyprinus carpio)個体群をモデルとし、在来系統と外来系統を区別する一塩基の変異(一塩基多型)を指標とすることにより、個体群遺伝構造を迅速に推定する環境DNA手法の開発を進めてきた。本講演では、標的をミトコンドリアDNAから核DNAへと拡張することにより、両親の遺伝情報を反映した個体群遺伝構造評価により、在来系統と外来系統の交雑レベルを推定する試みについて紹介する。同種の外来遺伝子型の侵入や個体群縮小による遺伝的多様性の低下といった生物多様性保全における難題について、迅速かつ広汎な調査を実現する手段としての環境DNA分析の可能性を提示したい。