| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨 ESJ67 Abstract |
一般講演(口頭発表) L02-11 (Oral presentation)
島嶼生態系はその特異性から、生物の適応進化の実験場として長く注目されてきた。その特異性の一つとして捕食者相の貧弱さがある。捕食圧から解放された島嶼の生物相は、対捕食者戦略の欠如といった独自の進化 ‘島嶼化’を遂げている事が知られている。しかしその島嶼化プロセスについては、既に分化を果たした種の存在から帰納的に述べられる事が殆どで、実証的に検証されたことはない。本研究では、島嶼および大陸への外来種の導入を自然実験としてとらえ、その急速な形態変化を評価する事で島嶼化プロセスの検証を試みた。
オオヒキガエルは農業害虫の駆除のために1930-40年代にかけて日本やハワイ、オーストラリアといった世界中の地域に導入された南米原産の種である。本種は対捕食者防御として強力な毒を分泌する毒腺を持っている。本研究ではこの毒腺に注目し、導入先の捕食者相の違いにより対捕食者防御である毒腺が、急速に変化している可能性を検証した。捕食者がほとんど分布していない島嶼(大東諸島・小笠原諸島)に導入された個体群の毒腺は、捕食者が多く分布している大陸(オーストラリア)に導入された個体群と比べて相対的に小型化する方向に急速に変化している可能性について議論する。