| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨 ESJ67 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-PA-033 (Poster presentation)
特別緑地保全地区の鳥類相をスポットセンサス法を用いて調査し、大きさや立地の異なる5ヶ所の緑地で種数や出現種を比較した。川崎市において特別緑地保全地区に指定する際に植生、立地、市民の利活用のしやすさを重視しているが、鳥類をはじめとした動物への項目は少ないため、本調査は必要だと考えた。
本研究では、特別緑地保全地区の調査地点ごとに確認された種数をα多様性、特別緑地保全地区の全体の合計種数をγ多様性とした。
(1) 種数に着目した分析
特別緑地保全地区ごとにα多様性(確認された全種数)とγ多様性(地点ごとに確認された種数)を比較した。
(2) それぞれの種に着目した分析
種ごとの違いから、この種が多い理由を検討した。
結果より、α多様性が高い緑地ではγ多様性も高く、α多様性が低い特別緑地保全地区では、γ多様性も低かった。
また、全ての緑地で確認されたのは、ハシボソガラス、ハシブトガラス、シジュウカラ、ヒヨドリ、ウグイス、エナガ、メジロ、アオジの8種であった。一番確認された種が多い特別緑地保全地区では、上記8種に加え、キジバト、トビ、コゲラ、カワラヒワや他の緑地で確認されていないツグミ、ジョウビタキ、スズメ、シメ、ドバトの5種を確認した。
一番確認された種が少ない特別緑地保全地区では、種数が多い緑地とここでしか確認できなかったキジバトや他の緑地で確認できていないモズを確認した。
市街地に残された緑地を保全することは、レフュージアとしての役割だけでなく、生息地としてのポテンシャルを守ることにつながる可能性がある。