| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-PA-055  (Poster presentation)

富士山麓の二次草原における植生タイプ、火入れの有無と鳥類群集の関係 【B】
Associations of bird communities with vegetation type and fire in secondary grassland on the foot of Mt. Fuji 【B】

*水村春香(東京大学), 渡邊通人(富士山自然保護センタ), 樋口広芳(慶應義塾大学), 久保田耕平(東京大学)
*Haruka MIZUMURA(Univ. of Tokyo), Michihito WATANABE(FujiNatureConservationCenter), Hiroyoshi HIGUCHI(Keio University), Kohei KUBOTA(Univ. of Tokyo)

国内における草原のほとんどは火入れや採草により維持されてきた二次草原であり、開放地性の鳥類にとって重要な生息・繁殖環境となっている。しかし、国内の草原は前世紀と比較して約1%にまで減少し、同時に開放地性の多くの種は減少傾向にあり絶滅危惧種も多数存在する。したがって、草原で繁殖する開放地性鳥類の保全にむけては、火入れ草原、管理放棄され森林化している草原、牧草地といった異なる管理下の草原における鳥類相と、管理手法や植生構造との関係を明らかにすることが重要である。さらに、現在まで残されている大規模な草原は火山草原であることが多いため(例:阿蘇、富士山)、地質学的な観点からも鳥類相との関係を明らかにすることが、様々な地域での草原再生において重要である。
本研究では、様々な管理形態の二次草原が残されている富士山麓において、鳥類相や植生構造を比較した。草原を、定期的な火入れがあるもの、火入れを休止し約20年経過したもの、約50年経過し疎林化しているもの、牧草地の4タイプに分け、それぞれにコドラートを合計67か所設定した。テリトリーマッピング法により、繁殖期における鳥類のテリトリー数、個体数、種数、種構成を調べ、草原タイプ間で比較した。その結果、種により、繁殖する草原タイプが異なる傾向がみられた。また、休止後20年経過した草原ではノジコが確認され、火入れ草原ではオオジシギ、ヨタカ、ノビタキ、オオヨシキリが繁殖しており、合計4種の環境省レッドリスト掲載種が含まれていた。発表では、草原タイプ間の鳥類群集構造の相違とそれに影響する環境要因についての解析結果や、同じ火入れ草原での場所間の鳥類群集構造の相違とその考えられる要因を示す予定である。


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