| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨 ESJ67 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-PA-122 (Poster presentation)
林床面では同種の落葉でも土壌微生物の分解によって腐朽度合いが異なっている。大型土壌生物の分解は土壌微生物の有機物分解に大きく影響されることが知られている。一方、土壌微生物の分解とオカダンゴムシ(Armadillidium vulgare)の分解、双方の関係に着目した研究はまだ少ない。本研究では土壌微生物の分解によって腐朽度合いが異なる同種の落葉を用いたオカダンゴムシによる分解の差を明らかにする。
当年生と一年生の落葉各8枚をオカダンゴムシ各5個体に分解させ、19日間の分解の差を見た。測定項目は①落葉のC/N含有量・乾重・分解量②オカダンゴムシの呼吸量・生重の変化③オカダンゴムシの糞の重さとC/N含有量である。先行研究で異なる葉を分解したときと同様にオカダンゴムシによってN含有量が比較的高い一年生の落葉のほうが多く分解された。これはオカダンゴムシの分解はC/Nの含有量が関係していることを意味する。オカダンゴムシの呼吸量は一年生落葉を分解したほうが高く、オカダンゴムシの生重は当年生落葉を分解した方が減少した。これは落葉の分解の量の差に関係し、多く分解した一年生の方が分解が活発で体重の変化も少なかった。糞は一年生の方が多く排出されていた。これも分解量が関係していると考えられる。また、当年生も一年生も落葉が分解され、糞となったほうがC含有量が少なくなりN含有量が多くなっていた。
オカダンゴムシの分解は土壌微生物の分解によって腐朽した落葉のほうが活発化する。土壌微生物にとって落葉よりもオカダンゴムシの分解産物である糞の方が分解されやすいことが知られており、互いの分解が互いの分解に影響をもたらしていることが示唆される。