| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-PA-138  (Poster presentation)

アメイロアリの種子散布について
Seed dispersal by Nylanderia flavipes.

*山田幹久(北海道教育大学旭川), 北條賢(関西学院大学), 今村彰生(北海道教育大学旭川)
*Mikihisa YAMADA(HUEA), Masaru K HOJO(Kwansei Gakuin University), Akio IMAMURA(HUEA)

アリ散布植物の種子はエライオソームなどの付属体を報酬としてアリを誘引している。アリの誘引には、付属体以外に果実などから発せられる匂い成分も寄与しうることが知られている。そこで本研究では、植物の花や液果などから抽出された匂い成分を極小の濾紙片に塗布したダミー種子を作成した。そして、そのダミー種子が種子を再現できているか、バイオアッセイで検証した。アッセイには、花の蜜を好んで餌とし、攻撃性が少なく種子にも興味を示すアリ科ヤマアリ亜科のアメイロアリ (Nylanderia flavipes Smith)を用いた。使用した匂い成分は、イソブチルアルコール、イソアミルアルコール、ヘキサン酸イソアミル、リナロール、イソ酪酸、テルピネオールの6種類である。匂い成分については、それぞれの単一のものおよび、6種類の成分を均等に混合したものをそれぞれエタノールで希釈して用いた。これら7条件の匂い成分を塗布したダミー種子および溶媒 (エタノール)のみを塗布した対照のダミー種子の全ての条件ついて、それぞれ別々にかつ一度ずつアリに呈示し、ダミー種子の持ち去りがみられるか検証した。その結果、匂い成分を塗布したダミー種子が持ち去られ、対照のダミー種子は持ち去られなかった。以上より、濾紙片に匂い成分を塗布することによって、種子を再現することができたと考えられる。


日本生態学会