| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨 ESJ67 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-PB-157 (Poster presentation)
アオバトTreron sieboldiiはハト目ハト科アオバト属に属する鳥類である。日本、台湾、中国など東アジアの限られた地域に分布している。主に森林を生息の場としている。アオバトには海水飲水という特異的な生態が知られており、効率的にミネラルを得る為に集団で海岸に飛来し海水を飲む。神奈川県大磯町照ヶ崎海岸(以下、照ヶ崎海岸)はアオバトの集団飛来地として知られている。アオバトの生態的知見に関してはその特徴的な行動から、海水飲水に関する知見は多い。しかしながら換羽に関する知見、齢識別に関する知見は少ない。そこで本研究ではアオバトの換羽と齢識別について推定した。標本の採集は照ヶ崎海岸にて行った。台風前後の大波に飲まれ溺死したアオバト46個体(オス:14個体、メス:32個体)を用いた。また先行研究に従い、幼鳥を識別し、齢識別、幼鳥の換羽様式を推定した。
その結果、アオバトの幼鳥の換羽様式が明らかとなった。初列風切羽の換羽はオスがメスより換羽の進みが早い傾向を示した。齢識別に関して、本研究では新たな知見を得ることはできなかった。幼鳥の換羽様式推定では、46個体中8個体で幼鳥が確認された。その8個体すべてで初列風切羽の換羽が確認された。アオバトの幼鳥は幼羽から第一回冬羽の換羽で風切り羽を換羽する、幼羽後完全換羽(Complete post-juvenile moult)を行うことが示唆された。