| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-PB-170  (Poster presentation)

ドローンとディープラーニングを用いた森林劣化度の評価手法の開発
Development of evaluating scheme for forest degradation, using drone and deep learning

*大西信徳(京都大学), 竹重龍一(京都大学), 今井伸夫(東京農業大学), 青柳亮太(森林総合研究所), 伊勢武史(京都大学), 北山兼弘(京都大学)
*Masanori ONISHI(Kyoto Univ.), Ryuichi TAKESHIGE(Kyoto Univ.), Nobuo IMAI(Tokyo Univ. of Agriculture), Ryota AOYAGI(FFPRI), Takeshi ISE(Kyoto Univ.), Kanehiro KITAYAMA(Kyoto Univ.)

森林減少の進むボルネオにおいて森林の持続的管理のため、森林劣化やそれに伴う生物多様性の減少の評価やモニタリング方法が必要とされている。一般的にボルネオでは伐採による森林劣化に伴い、遷移後期の樹木は減少し、パイオニアの樹木は増加することが確認されている。そのため対象とする森林の遷移後期とパイオニアの樹木の群集組成を調べることで、森林劣化度を評価することが可能とされている。しかしこの方法は多くのフィールド調査を必要とする。そこで本研究では低コスト・低労力で森林劣化度を評価するため、ドローンのデジタル画像からディープラーニングを用いて森林劣化度の指標木を識別することが可能であるか検討した。方法として、3か所の2haプロットにおいてドローンで撮影した画像と毎木データを対応させた。ドローンの画像はDigital Surface Modelも用いて樹冠の分離を自動で行い、作成されたポリゴンから樹冠画像を抽出した。識別対象は森林劣化度の指標木とされる遷移後期樹木のフタバガキ科、パイオニア樹木としてMacaranga属、Neolamarckia属とした。ディープラーニングにはResnet152層学習済みモデルを用いてファインチューニングによる多クラス学習、また同モデルをSiamese Neural Networkに応用し学習を行った。結果、パイオニアはある程度の精度で識別できることがわかったが、フタバガキ科に関しては科内での見た目のばらつきが多くサンプル数も確保しにくいことなどにより識別が困難であることがわかった。この結果を踏まえ、フタバガキ科の代替指標として、巨木の樹冠面積・樹高、ギャップ率などの指標の利用可能性について検討した。


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