| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨 ESJ67 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-PB-185 (Poster presentation)
生物の共存メカニズムを解明するに当たり、種間・種内競争だけではなく、他種に正の影響を与えるという促進作用も注目を集めている。このとき、競争や促進といった種間相互作用の強度は、環境によって変化すると考えられている。競争と促進の相対的重要性と環境ストレスの間の関係に注目したストレス勾配仮説によると、好適な環境下では互いに競争関係にある種間でも、物理的ストレスが強い状況ではお互いの存在が物理ストレスを緩和するため、物理的ストレスが弱く捕食圧の高い状況ではお互いの存在が捕食者からの共同防御につながるため、いずれの場合でも競争よりも促進が起きやすいとされている。しかし、このストレス勾配仮説には例外も数多く知られており、その理由の一つとして本仮説には相互作用しあう種のニッチ特性が考慮されていないことが挙げられている。ここで、2種の相互作用強度は、局所環境と2種のニッチ特性に依存して変化し、(1)局所環境の特性がニッチ軸の中央からに離れるにつれ、他種から正の効果を受けやすくなり、(2)そのときの相互作用強度は相手の種のニッチ位置によっても変化する、という仮説を立てた。そこで、上記の仮説を検証するために、北海道東部の海岸における潮間帯固着生物のアバンダンスについての時系列データを使用し、様々な高度の岩礁において優占種2種間の相互作用強度を算出した。得られたデータを用い、相互作用強度に及ぼす岩礁高度と相互作用しあう2種の生息高度についてのニッチ特性の影響を解析した。その結果、相互作用強度は、岩礁高度やニッチ重複度によって変化することが確認された。なお、現時点では解析の途中であるため、詳細な結果については、ポスター発表の場で紹介する。