| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-PB-186  (Poster presentation)

ニホンミツバチの地域適応に関わる候補遺伝子の検出
Detection of candidate genes associated with regional adaptation of Japanese honeybee

*若宮健(東北大学), 上岡駿宏(東北大学), 石井悠(東北大学), 高橋純一(京都産業大学), 前田太郎(農研機構), 河田雅圭(東北大学)
*Takeshi WAKAMIYA(Tohoku Univ.), Takahiro KAMIOKA(Tohoku Univ.), Yuu ISHII(Tohoku Univ.), Jun-ichi TAKAHASHI(Kyoto Sangyo Univ.), Taro MAEDA(NARO), Masakado KAWATA(Tohoku Univ.)

 地域環境への適応と関連する候補遺伝子の検出は、生物種の遺伝的多様性を保全する上で非常に重要である。ニホンミツバチ(Apis cerana japonica)は、アジア地域に広域分布するトウヨウミツバチの1亜種で、北海道を除く本州、九州、四国および一部の離島に生息している。日本列島は、気温差・標高差・降水量差など、ミツバチの生存に影響を与える要素を多く含むことから、こうした環境条件が本種の独自の地域適応や進化を駆動していることが予想される。
 本研究では、日本列島全域から採集された計105個体の全ゲノム配列の情報および中国亜種のSRAデータ(Chen et al., 2018)を用いた比較ゲノム解析を実施した。はじめに、ADMIXTUREとPCAによる遺伝構造の評価を進めた結果、本種は、大陸の中国亜種と分化した集団であり、さらに、日本列島の北部(東北-関東-中部地方)、中間(中国地方)、南部(九州地方)の3集団間に明瞭な遺伝的分化が存在することが示唆された。次に、推定された遺伝構造を元に地域集団を定義後、Population Branch Statistics(PBS)などの統計量を算出し、地域集団間で異なる自然選択を受けた遺伝領域をゲノムワイドに探索した。また、環境条件と遺伝子型の関係性を調べるLFMM(Frichot et al., 2013)という解析手法を用いて、環境と相関して頻度が変化する遺伝領域の検出を試みた。今回の発表では、上記の2通りのアプローチで得られた候補遺伝子について考察予定である。


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