| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-PC-227  (Poster presentation)

分解特性の高い花リターが森林土壌に供給する窒素・リンの季節傾向
Flower litters with extremely high decomposability and seasonal pattern of nitrogen and phosphorus release into the soils in a temperate forest.

*太田和秀(秋田県立大学), 野口麻穂子(森林総研 東北), 板橋朋洋(秋田県立大学), 齋藤智之(森林総研 東北), 八木橋勉(森林総研), 佐藤孝(秋田県立大学), 星崎和彦(秋田県立大学)
*Ohta KAZUHIDE(Akita Prefectural Univ.), Mahoko NOGUCHI(Tohoku Resarch Center, FFPRI), Tomohiro ITABASHI(Akita Prefectural Univ.), Tomoyuki SAITOH(Tohoku Resarch Center, FFPRI), Tsutomu YAGIHASHI(FFPRI), Takashi SATO(Akita Prefectural Univ.), Kazuhiko HOSHIZAKI(Akita Prefectural Univ.)

森林生態系における循環の炭素エネルギーの供給源は葉リターであるが、葉リターは一般に、樹体内に窒素やリンなどの資源を回収された“抜け殻”であり、窒素やリンの含有量は生育期の葉と比べて著しく低い。一方で、花リターに窒素やリンが葉リターよりも多く含まれるという報告もある。そこで、花リターは葉リターに比べて分解者に素早く利用されるのではないかという予測を立て、両者の分解速度を比較した。
岩手県奥羽山脈に位置するカヌマ沢試験地に生育するブナ、サワグルミ、ミズナラ、トチノキを用いて花リターと葉リターのリターバッグを作成し、各樹種の樹冠下に6月から9月中頃まで約4か月間設置した。回収したリターバッグの重量分解率と窒素、リンの含有率から月ごとに各リターから流出した窒素とリン量を求めた。
葉リターからは、実験期間内に窒素とリンの流出はほとんど見られなかった。一方で、花リターからは6月に集中して窒素とリンが流出し、季節的な資源供給パルスとなっていた。これらの結果和踏まえて、森林土壌への資源供給源としての価値を議論する。


日本生態学会