| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-PC-243  (Poster presentation)

侵略的外来種グリーンアノールとその近縁3種の全ゲノム比較
Whole-genome comparison between the green anole and the closely related three Anolis species

*坂本芙久(東北大学), 金森駿介(東北大学), Luis M DíAZ(Mus. Nat. Hist. of Cuba), Antonio CáDIZ(Habana Univ.), 石井悠(東北大学), 山口勝司(基礎生物学研究所), 重信秀治(基礎生物学研究所), 河田雅圭(東北大学)
*Fuku SAKAMOTO(Tohoku Univ.), Shunsuke KANAMORI(Tohoku Univ.), Luis M DíAZ(Mus. Nat. Hist. of Cuba), Antonio CáDIZ(Habana Univ.), Yuu ISHII(Tohoku Univ.), Katsushi YAMAGUCHI(NIBB), Shuji SHIGENOBU(NIBB), Masakado KAWATA(Tohoku Univ.)

一般に、新規環境に生物が定着するには高い適応力が必要であると考えられ、実際に移入先で定着して個体数を増加させることができる種は限られている。侵略的外来種には新規環境への急速な適応を可能にする遺伝的要因が存在することが予想されるが、その全容は明らかになっていない。
アメリカ原産のグリーンアノール(Anolis carolinensis)は小笠原諸島や沖縄、ハワイに侵入・定着しており、日本では特定外来生物に指定されている。過去の系統学的研究から、グリーンアノールはキューバ原産のA. isolepis, A. allisoni, A. porcatusの属するクレードに分類されることがわかっている。また、キューバ原産のアノールトカゲでA. allogus, A. homolechisを近縁種とするブラウンアノール(A. sagrei)も近年アメリカに侵入して外来種化していることが知られている。
本研究では、外来種の持つ高い適応能力の遺伝的基盤を解明するために、全ゲノムを用いた比較解析を行なっている。これまでに、同一の分子由来のショートリードをアセンブルすることで擬似的なロングリードを生成できるChromiumシステムを用いて、6種のアノールトカゲ(A. isolepis, A. allisoni, A. porcatus, A. sagrei, A. allogus, A. homolechis)のゲノムを新規に決定した。さらに、系統解析ツール集であるPHASTを用いたゲノムワイドな解析により、新規決定した上記の6種にA. carolinensisを加えた全7種のうち、外来種化していることが知られるA. carolinensis, A. sagreiで保存/加速されているゲノム領域の特定を試みた。本発表では、PHASTによる解析の結果から、外来種の持つ遺伝的特徴について議論したい。


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