| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-PC-245  (Poster presentation)

近縁種の多い熱帯樹種Syzygium属にみられる過去の交雑とニッチ多様性の関係 【B】
The relationship between past hybridization and niche diversity in closely related tropical trees, genus Syzygium. 【B】

*辰巳茉優(大阪市立大学), 奥野聖也(大阪市立大学), SYLVESTERTan(CTFS), MOHIZAHMohamad(サラワク森林局), 永野惇(龍谷大学), 手塚あゆみ(龍谷大学), 名波哲(大阪市立大学), 伊東明(大阪市立大学)
*Mayu TATSUMI(Osaka  City Univ.), Seiya OKUNO(Osaka  City Univ.), Tan SYLVESTER(CTFS), Mohamad MOHIZAH(Forest Department of Sarawak), Atsushi NAGANO(Ryukoku university), Ayumi TEZUKA(Ryukoku university), Satoshi NANAMI(Osaka  City Univ.), Akira ITOH(Osaka  City Univ.)

交雑や遺伝子移入は生物の種分化や多様化において重要な役割を持つ。植物では多くの交雑の事例が報告されており、交雑由来の種分化や網状進化が注目されてきた。近年ではNGSにより大量の配列データを取得して過去の交雑を推定することも可能となり、植物の多様化に種間交雑が重要である可能性が指摘されるようになった。
熱帯樹木であるSyzygiumはアジアで最も多くの種を有する属であり、属内の形態も様々で高い多様性を持つ。マレーシアのランビルヒルズ国立公園内に設置された大面積調査区においても多数の近縁種が生息している。本研究では、RAD-seqで得られる大量の配列データを用いてSyzygium属にみられる過去の交雑を推定し、属内の交雑とニッチの多様性の関係を考証した。
まず、擬最尤法で交雑関係を推定するソフトを用いて交雑箇所と回数の推定を行ったところ、属内の3つのクレードで交雑が検出された。次に、調査地における4回のセンサスによって得られた5つの生態特性(死亡率や成長率、ハビタット特性など)と葉面積や葉の縦横比という形質について交雑を含むクレードとそうでないクレードの間でデータの分散に差があるかを調べた。また、上記のニッチについてそれぞれの進化速度を推定した。その結果、2者の間でばらつき方に差があるニッチがあること、また交雑クレードにおいて進化速度のシフトが起こったニッチがあることが示された。このことにから交雑がニッチ多様性に影響を与えたという可能性が考えられる。
Quick Understanding
In speciation and diversification, hybridization and introgression play important role. Many cases of hybridization have been reported and differentiation due to hybrid has attracted attention in plants. We estimated past hybridizations in the tropical tree genus, Syzygium. And evaluated relationships between hybridization and present diversity. I'll present results & discussions these findings.


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