| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨 ESJ67 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-PC-246 (Poster presentation)
社会性ハチ目昆虫のメスは、羽化後の限られた時期にしか交尾をしないため、その時に死亡するまでの期間に使用できるほど十分な量の精子を受精嚢に保存する。社会性が発達している種ほどメスは長寿であり、貯蔵精子数が多い傾向がみられるため、精子貯蔵能力の進化は社会性の発達に欠かせない要素であったと考えられる。そのため、単独性ハチ目昆虫を含めたハチ目全体の種の精子貯蔵機能の進化を明らかにすることは、社会性発達の道筋に迫ることに繋がる。受精嚢は、直接的に精子を保護する器官であるため、精子貯蔵能力に密接に関係しているといえる。
本研究では、受精嚢内で貯蔵されている精子の運動に着目した。精子の運動は物理的な損傷と活性酸素の発生をともなうと考えられるため、長期間精子を保存する種では、受精嚢内の精子が不動状態になっているのではないかと仮説を立てた。精子貯蔵期間が数週間の種では、受精嚢内の精子は全体的に運動していた。精子貯蔵期間が数ヶ月である種では、受精嚢内で運動している精子としていない精子が共存していた。一方、精子貯蔵期間が約一年の種では、ほとんどの貯蔵精子が動いていなかった。アリやミツバチの先行研究を合わせると、ハチ目昆虫の精子貯蔵期間が一年以上の種では、受精嚢内で精子は不動状態であると考えられる。また、一部では季節により運動性が異なる種がいたため、季節に応じた運動制御が行われている可能性も考えられる。