| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-PC-306  (Poster presentation)

自殖種は他殖種より種子が小さいか?:メタ解析によるアプローチ
Effects of mating systems on seed size variation: a meta analysis

*竪山裕文(千葉大学)
*Hirofumi TATEYAMA(Chiba Univ)

種子サイズは実生の生存率などに影響を与える重要な形質である。種子サイズは種により大きく異なり、気温や生活型など様々な要因が種子サイズに関連することが知られている。De Jong et al. (2005) は、資源配分をめぐる花粉親と胚珠親の性的対立の理論モデルに基づき、植物の自殖率も種子サイズに影響を与えると予測した。このモデルに基づくと、自殖率が高いほど花粉親・胚珠親間の対立が弱まり、結果として進化的に安定な種子サイズは小さくなることが予測される。De Jong et al. (2005) らは実際のデータから自殖率と種子サイズに負の相関関係があると報告しているが、この解析は種数が少なく、かつ系統関係が考慮されていないという点で不十分だった。そこで本研究では、生殖様式に関する知見が蓄積しているナス科、アブラナ科、キク科の3科に着目し、より大規模に、かつ系統関係を考慮した上で生殖様式(自殖性・他殖性)が種子サイズに与える影響を検証した。種子重量データにはRoyal Botanic Gardens, Kewが公開しているデータを利用し、各種の生殖様式については自家和合性・自家不和合性の情報を文献検索により収集した。さらに、先行研究から種子サイズと関連することが指摘されている生育地の降水量、平均気温などの気象データも収集し、最終的に系統情報をランダム効果とする一般化線形混合モデルを用いて各要因が種子サイズに与える影響を検証した。その結果、いずれの科においても自家和合性の種は自家不和合性の種に比べて有意に種子サイズが小さくなる傾向がみられた。今後は、生殖様式と種子サイズの両方に影響を与える交絡要因についても検討を行う予定である。


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